肩峰下滑液包炎

カイロプラクティックによる肩峰下滑液包炎へのアプローチ


基本的な考え方

カイロプラクティックでは、局所の炎症だけでなく
姿勢・脊椎アライメント・神経機能・筋バランスの観点から
全体的にアプローチします。


主なアプローチ方法

1. 脊椎・関節のアジャストメント(矯正)

部位目的
頸椎(C4〜C6)肩・腕への神経支配を改善、神経性炎症を軽減
胸椎(T1〜T4)胸椎後弯の改善→肩甲骨の正常位置を回復
肩鎖関節・胸鎖関節肩複合体のバイオメカニクス改善
肩甲上腕関節関節モビリゼーションで可動域回復

胸椎の可動性低下は肩甲骨の動きを制限し、肩峰下腔をさらに狭める原因になるため特に重要です。


2. 軟部組織療法

  • 筋筋膜リリース:棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋(腱板筋群)の緊張緩和
  • トリガーポイント療法:僧帽筋・肩甲挙筋・三角筋のトリガーポイント解放
  • グラストン法(IASTM):器具を用いた癒着した筋膜・腱の軟化
  • ART(アクティブリリーステクニック):動作しながら軟部組織をリリース

3. 姿勢矯正・肩甲骨アライメント改善

前傾姿勢(猫背)
 ↓
肩甲骨の前傾・外転
 ↓
肩峰下腔の狭小化
 ↓
インピンジメント悪化
  • 巻き肩・前方頭位姿勢の矯正
  • 肩甲骨を正しい位置に戻すことで物理的な圧迫を軽減

4. 治療的エクササイズ指導

急性期(炎症期)

  • 振り子運動(コッドマン体操)
  • 肩甲骨の軽い動的ストレッチ

回復期

  • 腱板強化(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)
  • セラバンドを使った内旋・外旋エクササイズ
  • 肩甲骨安定化トレーニング(前鋸筋・菱形筋)

維持期

  • 胸椎モビリティエクササイズ
  • 姿勢改善トレーニング

5. 物理療法(併用)

  • 超音波療法:深部組織の炎症軽減・血流促進
  • 低出力レーザー(LLLT):細胞レベルの修復促進
  • 電気療法(TENS・干渉波):疼痛管理

治療の流れ(目安)

フェーズ期間目標
急性期1〜2週疼痛・炎症の軽減
回復期3〜6週可動域回復・筋機能改善
機能改善期2〜3ヶ月再発予防・動作改善

注意点・禁忌

⚠️ 以下の場合はカイロプラクティックのみでは対応が難しく、医療機関との連携が必要です。

  • 腱板完全断裂が疑われる場合
  • 石灰性滑液包炎の急性期(激烈な痛み)
  • 症状が6〜8週の保存療法で改善しない場合
  • しびれ・筋力低下など神経症状が強い場合

ポイントまとめ

カイロプラクティックは肩峰下滑液包炎に対して、局所だけでなく姿勢・脊椎・神経系全体から根本的な原因にアプローチできるため、再発予防にも有効です。特に胸椎の可動性回復肩甲骨の安定化が改善の鍵になります。

脊椎アジャストメント

胸椎モビリゼーション(T1–T6)

肩甲骨の動きを解放する最重要アプローチ

1

体位:腹臥位または座位。胸椎後弯の頂点(T3–T5付近)を標的とする。

2

手技:両手を重ね、棘突起のすぐ外側(傍脊椎)に接触。前上方方向にHVLA(高速低振幅)スラストを加える。

3

目的:胸椎の伸展可動域回復 → 肩甲骨の後傾・下方回旋を改善 → 肩峰下腔の拡大。